映画を語ろう。
愛を語ろう。
エルスール〜EL SUR
JUGEMテーマ:洋画
 
一日中、母親と一緒にいながら、母親の存在は希薄であり
反対に父親は、頼もしく憧れの存在だった。
そんな少女エストレーリャの語りによって、
物語は始まっていき、それは最後まで続くが、
難解でもなく、とても心地よい語りだ。

しかし、少女は、憧れの父親の何を知っていたのか。
そして、父親も、
少女が成長していく中で、
どれだけ自分が見つめられていたかわかっていたのか。

少女の言葉を借りるなら、彼女は、時には父親の共犯者にもなった。

これは、「みつばちのささやき」の監督の作品らしいが、
ミツバチのアナの無垢さから
もう少しだけ大人になった少女と父親の親子関係に
私は、浸り、何とも言えない余韻を感じ取った。

生まれて初めての異性である父親は、
特別な素敵な人間。

映画の冒頭、
暗い真っ黒な画面から
少しずつ光が入っていき、
ベッドに横たわる少女に聞こえてくるのは、
父親アグスティンが、昨夜から行方不明になったことを知らす
使用人と母親の声とそして犬の鳴き声

そして、彼女の枕元にあったのは、
父親の振り子。
この振り子を使って
父親は、母親のおなかにいた頃の少女を
女の子だと言い当て、名前までつけ
もう、そこからエストレーリャとアグスティンの親子関係が出来上がっていた。

エストレーリャは、振り子の使い方を教えてもらったり
一緒に魔法のようなことをしてみたり、
二人にしかわからない絆がそこにあった。
だが、それを置いて、
家を出たと知った彼女は、
もう、父親は家に帰ることはないと悟った。

父親に何があった?
そして、父親はそれにどう対処した?

エルスール〜これは、つまり、南 
父親は南の地域に住んでいて、
その過去には、祖父との確執や政治的な要素もあり
それを捨てて北部地方にやってきたのだ。

そして、女性関係も絡んできて、
母親との関係もぎくしゃくし
家族が重苦しい生き方しかできなくなった時、
エストレーリャは、抵抗を試みる時がある。
ベッドの下に隠れて、家族に心配してもらうこと。
なんとか状況を打破したかったのだ。

しかし、そのベッドの下に隠れた沈黙に対して
父親は、少女を探し見つけると言う行為をせず
その居場所にいながら、
沈黙という行為で答えた時、彼女は涙した。

それを母親は何故に泣いているの?と問いただすが、
ただ「悲しいからよ」という気持ちは、
映画を見ていて充分伝わりすぎるくらい伝わりすぎた。

エストレーリャの悲しみも言葉にならないくらい沈黙であり
そして、父親の抱えている悲しみ、悩みも
それ以上に沈黙でしか応えることのできないくらいつらかったのだと。


ラスト近くのホテルでみたダンスシーン。
エストレーリャの初聖体拝領の時に
二人で、踊った喜びの音楽が、物悲しく過去の幸せを思い起こす。
そこでも父親と少女との想いは、
互いにうまくかみ合っていかない。
どれだけ理解できていたの?
家族って、本当はわからない存在?
振り返ってみればと、残されたものは、それを問う。

結局、父の死後、
エストレーリャは、エルスール、南へ向かう。
父の過去を知りたくて、なんだかわくわくしながらのエルスール。

色んな場面場面で
父親と少女の関わり合いが、
女の子なら痛いほどわかるんじゃないか。
また、父親という立場の人も痛いほどわかるんじゃないか。
そんな優しく美しい映画でした。



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